モンゴルは日本と同じく東アジアの国で文化的にも互いに似ているところもありますが、やはりモンゴルには遊牧民ならではの独自に築いてきたマナーやルールも沢山存在しています。
1.モンゴルでは歩いていて誰かの足を踏んでしまった時に握手をする習慣があります。
親しい友人同士だけではなく、全く知らない他人同士でも必ず握手を交わします。これは、モンゴルでは「足を踏んだ相手とは将来敵同士になってしまう」という迷信が信じられていることから、握手をすることで「悪気はないです。ごめんなさい」と敵意がないこととを表しています。
2.モンゴル人は帽子をとても大切に扱います。
帽子を脱ぐ際には、むやみに床においたりせずに、安全な高い場所に置きます。
モンゴル人にとって帽子を被せる『頭』は天と人を結ぶ神聖な部分であるという考えがあるため、その頭に被せる帽子も神聖なものであり、特に慎重に扱われています。
また、モンゴルでは帽子を上下逆さまを置くこともまたタブーとされています。
これは、モンゴルでは『上を向いたものは上を向いたまま、下を向いたものは下を向いたままにしなければならない』と考えられているためです。
帽子のように下に向いているものを上に向けて置いてしまうと、帽子の中にその家の中の善が入ってしまい、帽子の持ち主がそれを持ち帰ることになってしまうと言われています。
また逆に、その人が帽子の中に持っている悪いものを、その家に広げてしまうとも言われているため、帽子は絶対に下向きで置かなければならないです。
3.ゲル訪問でのNG行為!
モンゴルをはじめとする遊牧民族が多く住む国々には、昔からの迷信に基づいた数多くの変わった風習が今でも暮らしの中に残っています。
モンゴル人は日常生活のありとあらゆる場面で、“どのように行動したら幸運が得られるか、少しでも邪悪なものから逃れられるか”を常に意識して生活してきました。
そんな迷信深い私たちの住む移動式住居(ゲル)にも、もちろん迷信に基づいたマナーや決まり事がたくさん存在します。
今回は、ゲルにおじゃました際に、「やってはいけないこと」をいくつかご紹介しちゃいます!!
ゲル訪問でのNG行為:
①ドアフレームを踏んではいけない!
ゲルに入る際には、ドアフレームの下側(敷居)を踏まないでください。
ゲルの入り口は小さいので、ついつい踏んでしまいそうになりますが、踏まずに跨いでください。
ドアフレームの下側はゲルの首とも言われているため、足で踏みつける行為はその家の首を締める行為と考えられています。
日本でも同様に古くから敷居は家主の顔であり、また悪しき物を防ぐ結界のような役割があると言われているため、お寺や家の敷居は踏まずに跨ぐのがマナーとされていますよね。
調べてみると、どうやら日本やモンゴルだけでなく、他のアジア諸国にも同様の風習が存在しているようです。
一説によると、敷居は住居の立て付けにとても重要な部分であるため、建物を長持ちさせるためにも敷居を踏んではいけないという風習が生まれたという話もあります。
②柱の間を通ったり、物を置いてはいけない!
ゲルの中心にある天窓を支えている2本の柱の間を通ったり、手を通して物を渡したり、または物をおいたりしてはいけません。
一説には、この柱は天界と地上の繋がりの象徴であり神聖なスペースとされているため、柱の間を通ったりすることは縁起が悪いのです。
モンゴルや中央アジアの遊牧民族の間では、古くから天上世界を信仰する文化があるため、天と地の繋がりを大切にしています。
③ストーブにゴミを入れてはいけない!
ゲルに設置されているストーブに紙くずやゴミ、水を入れてはダメです。なんでも、モンゴルでは火は神聖なものであり、ストーブには家を守る神々がいると信じている人も多いのだとか。
④口笛を吹いてはいけない!
ゲルの中では口笛を吹いてはいけません。諸説ありますが、ゲルの室内での口笛は強風や豪雨などの自然災害や破産などの不運をもたらすと言われています。素敵なゲルに宿泊したらウキウキ気分でつい口笛を吹いてしまいそうですが、気をつけましょう。これはカザフスタン やキルギスなどでも共通してみられる風習です。
日本でも地域によっては、夜に口笛を吹くと蛇や泥棒が出るという迷信が存在しますよね。起源が気になるところではないでしょうか…